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子犬が下痢をしたら?獣医師が原因と正しい対処法を解説

子犬を迎えると、毎日の元気な姿に安心する一方で、ちょっとした変化に不安を感じることも多いです。

その中でも「下痢」は多くの飼い主さんが直面する症状です。

軽く見えることもありますが、中には命に関わる病気のサインもあります。

今回は獣医師の立場から、子犬の下痢についてわかりやすくお話しします。

子犬の下痢はなぜ起こるのか?

食事の切り替えが急すぎる

子犬の腸はまだ未発達でとてもデリケートです。

フードを急に変えると、腸がうまく対応できず下痢をしてしまいます。

新しいフードに切り替えるときは、7日ほどかけて少しずつ混ぜるのが安心です。

最初は7割を元のフード、3割を新しいフードに。

徐々に割合を変えていき、ゆっくり切り替えましょう。

人の食べ物やおやつ

「少しなら大丈夫」と人の食べ物を与えると下痢をすることがあります。

人間用の食事は塩分や脂肪分が多く、子犬には負担が大きいからです。

また、玉ねぎやチョコレートなど犬にとって有害な食材もあります。

下痢だけでなく、中毒を起こす危険もあるので絶対に避けましょう。

感染症や寄生虫

犬パルボウイルスやコロナウイルスは、強い下痢や嘔吐を引き起こします。

特にパルボは短期間で命を奪う危険な病気です。

さらに、ジアルジアや回虫などの寄生虫も下痢の原因になります。

お迎えしたばかりの子犬は、必ず動物病院で健康診断を受けると安心です。

環境の変化やストレス

子犬は環境の変化に敏感です。

お迎え直後、引っ越し、旅行、来客などは大きなストレスとなります。

ストレス性の下痢は一過性のことも多いですが、続く場合は体力を奪います。

安心できる居場所を用意することが大切です。

病気や体調不良

腸炎や食物アレルギー、膵炎なども下痢の原因になります。

また免疫力が下がっている時期には、普段なら問題ない食事でも下痢をすることがあります。

危険なサインを見逃さないで

元気や食欲がない

普段は元気いっぱいの子犬が、下痢と同時にぐったりしている。

ごはんを食べず、寝てばかりいる。

これは脱水や低血糖の危険があり、すぐに病院での診察が必要です。

嘔吐を伴っている

下痢に加えて嘔吐がある場合、体の水分と栄養が一気に失われます。

短時間で危険な状態になるため、早急に受診してください。

血が混じっている

便に血が混じっている場合は、腸炎や感染症など深刻な病気の可能性があります。

鮮やかな赤色の血は大腸から、黒っぽい便は胃や小腸からの出血を示します。

いずれにせよ放置せず、必ず動物病院で診てもらいましょう。

水のような下痢が続く

繰り返し水様便が出ると、あっという間に脱水が進みます。

体の小さい子犬は特に危険です。すぐに対応が必要です。

子犬が下痢をしたときの対処法

状態を観察する

まずは冷静に子犬の様子を観察してください。

便の色や形、血や粘液の有無、下痢の回数を確認しましょう。

あわせて元気や食欲、水を飲んでいるかもチェックします。

便を持参したり写真を撮って見せると、診察時に役立ちます。

水分補給を心がける

下痢は水分を奪うため、脱水が心配です。

常に新鮮な水を用意し、飲んでいるか確認しましょう。

もし飲まない、または飲んでも吐いてしまう場合は危険なサインです。

迷わず動物病院を受診してください。

食事を控えるかどうか

軽い下痢で元気がある場合、半日程度食事を控えることがあります。

これは胃腸を休ませるためです。

ただし子犬は低血糖になりやすいため、自己判断は危険です。

必ず動物病院に相談してから行いましょう。

早めの受診が大切

「もう少し様子を見よう」と思う間に、症状が悪化することは少なくありません。

体の小さい子犬は、ほんの数時間で命に関わる状態になることもあります。

「迷ったら受診」 これが子犬を守る一番の方法です。

下痢を防ぐためにできること

フードの切り替えはゆっくり

新しいフードに変えるときは、7日〜10日かけて徐々に。

腸に負担をかけない工夫が大切です。

人の食べ物は与えない

人の食事は塩分や脂肪分が多く、腸に負担をかけます。

さらに中毒を起こす危険な食材も多いため、絶対に与えないでください。

定期的な予防医療

ワクチンや寄生虫予防は、感染症による下痢を防ぐ大切な方法です。

獣医師と相談しながらスケジュールを守りましょう。

ストレスを減らす工夫

子犬に安心できる場所を作り、静かに過ごせる環境を整えてあげましょう。

急な環境の変化はできるだけ避け、少しずつ慣れさせることが大切です。

健康チェックを習慣に

毎日の便や体重をチェックすることは、病気の早期発見につながります。

「いつもと違う」と思ったら早めに相談してください。

まとめ

– 子犬の下痢には、食事・感染症・ストレス・病気など多くの原因がある

– 元気がない、嘔吐、血便、水様便は危険サイン。すぐに受診を

– 対処の基本は「観察・水分補給・早めの動物病院」

– 日常の工夫と予防医療で下痢のリスクを減らすことができる