「最近、愛犬が耳をガシガシ掻いている…」
「頭をブルブル振る回数が増えた気がする」
そんな変化に気づくと、不安になりますよね。
犬の“耳の痒み”は、実はとてもよくある相談のひとつです。
ただ、よくある症状だからこそ、放置して悪化してしまうケースも少なくありません。
耳の痒みの裏には、外耳炎、アレルギー、耳ダニ、湿気、異物など「原因」があります。
特に垂れ耳の犬種、耳毛が多い犬、アレルギー体質の犬は、耳トラブルが起こりやすいです。
この記事では、原因の見分け方・家庭でできるケア・受診の目安を、獣医師の視点で分かりやすくまとめます。
先に結論
犬が少し耳を掻く程度で、元気や食欲も普段通り。
耳の中もきれいで、においもない。
この場合は、まずは環境を整えながら様子を見ることもできます。
ただし、耳トラブルは進行しやすいのが特徴です。
次のような変化があるときは、早めに病院へ相談してください。
✅ 耳が赤い、腫れている
✅ 強いにおいがする
✅ 黒い耳垢、ベタベタした耳垢が増えた
✅ 触ると痛がる、嫌がる
✅ しつこく気にする
✅ 掻き壊して出血している
耳は「放置すると治りにくくなる」場所です。
早めに原因を見つけるほど、治療も短く済みます。
犬が耳を痒がるのはなぜ?まず知っておきたいこと

犬が耳を掻くのは珍しくありません。
でも、ほとんどの場合「癖」ではなく、耳の中に違和感があるサインです。
犬の耳は外耳道がL字型で、湿気がこもりやすい構造をしています。
そのため、細菌やカビ(マラセチア)が増えやすく、炎症が起こりやすいのです。
特に、次のような犬は耳トラブルが増えます。
✅ 垂れ耳の犬
✅ 耳毛が多い犬
✅ アレルギー体質の犬
✅ 暑い時期、湿気の多い季節
大切なのは、「どこまでが様子見で、どこからが受診なのか」を知っておくことです。
犬が耳を痒がる主な原因(5つ)

耳の痒みにはいくつか原因があります。
ここでは、飼い主さんが特に知っておきたい5つをまとめました。
① 外耳炎(最も多いトラブル)
耳の痒みでいちばん多いのが外耳炎です。
外耳道の皮膚に炎症が起き、次のような症状が出ます。
✅ 赤み
✅ におい
✅ 耳垢の増加
✅ 痒み
原因としては、細菌、カビ(マラセチア)、湿気、アレルギーなどが関係します。
軽い時は「痒いだけ」でも、悪化すると痛みが強くなり、触られるのを嫌がるようになります。
放置すると慢性化して、「治りにくい耳」になってしまうこともあります。
② アレルギー(アトピー・食物アレルギー)
耳の痒みを繰り返す犬で多いのがアレルギーです。
✅ 季節の変わり目で悪化する
✅ 食事を変えたら痒みが増えた
✅ 体をなめる、足先を噛む
こうした症状がある犬は、耳の中も炎症が起こりやすい傾向があります。
耳だけではなく、皮膚全体のトラブルとセットで考えることが多いです。
③ 耳ダニ(ミミヒゼンダニ)
耳ダニは強い痒みが特徴です。
次のようなサインがあると疑います。
✅ 黒いサラサラした耳垢(コーヒーかす状)
✅ とにかく痒みが強い
✅ 子犬、多頭飼いで起こりやすい
他の犬や猫にうつることがあるので、早めの治療が必要です。
④ 耳の汚れ・湿気・環境要因
梅雨〜夏の湿気、シャンプー後に耳へ水が入る、蒸れやすい環境。
これらは外耳炎の引き金になります。
また意外と多いのが「耳掃除のしすぎ」です。
こすりすぎると皮膚が傷つき、逆に炎症が起こります。
「掃除しすぎず、放置しすぎない」
このバランスが大切です。
⑤ 異物(草の種・ほこり)
散歩中に草の種が耳に入ることがあります。
✅ 急に激しく頭を振る
✅ 片耳だけを気にする
✅ 痒がるというより「違和感が強い」
こんな時は異物の可能性があります。
奥に入ると痛みが強くなるため、早めに病院で確認するのが安心です。
こんな症状は注意|早めの対応が必要なサイン

耳のトラブルは進行しやすいです。
悪化すると痛みが出たり、中耳・内耳へ広がることもあります。
次のような変化があれば、受診をおすすめします。
注意すべき耳の変化
✅ 耳をしつこく掻き続けている
✅ 頭をブルブル振る回数が多い
✅ 耳のにおいが強い・すっぱい匂いがする
✅ 耳が赤く腫れている
✅ ベタベタ、黒い耳垢が大量にある
✅ 触るだけで痛がる・嫌がる
✅ 出血や湿った耳垢が見られる
✅ しつこく気にしている
特に「痛み」は重要なサインです。
触ろうとした瞬間に避けたり、キャンと鳴く場合は、炎症が進んでいる可能性があります。
自宅でできる耳のケア

耳が痒そうだと、すぐに耳掃除をしたくなりますよね。
でも耳のトラブルは、やり方次第で良くも悪くもなります。
大切なのは、順番です。
①まず観察して状態を把握する。
②悪化させないケアをする。
③再発しにくい環境を整える。
この流れで考えると、迷いが減ります。
ここでは初心者の飼い主さんでもできる、やさしい耳ケアをまとめます。
① まずは“観察”が第一歩(掃除より先にチェック)
耳のケアは、いきなり掃除から始めないのがコツです。
まずは「見る・嗅ぐ・触る」で確認します。
観察ポイントは次のとおりです。
✅ 耳の内側が赤いか
✅ 耳垢の色(黄色/茶色/黒など)
✅ 湿っているか、乾いているか
✅ においはどうか(すっぱい、強いなど)
✅ 触ろうとしたとき、嫌がらないか
普段の耳の状態を知っておくと、異変に早く気づけます。
② 耳を“乾かす”工夫(湿気対策は最優先)
外耳炎の多くは、湿気で悪化します。
特に垂れ耳の犬は蒸れやすいので注意が必要です。
耳を乾燥させるポイントはこちらです。
✅ シャンプー後は、耳の入口をやさしく乾かす
✅ 散歩後に、耳の入口に軽く風を通す
✅ 梅雨や夏は、室内の除湿を意識する
✅ 蒸れやすい犬は、こまめに耳の状態をチェックする
ドライヤーの熱風を耳の中へ当てるのは避けてください。
入口をやさしく乾かす程度で十分です。
③ 家庭での耳掃除は「入口だけ」(やりすぎない)
家庭でできる耳掃除は、基本的に「入口だけ」です。
奥まで綿棒を入れる必要はありません。
むしろ危険です。
耳掃除のやり方
✅ 犬用イヤークリーナーをガーゼに少量つける
✅ 耳の“見える範囲”だけを軽く拭く
✅ ゴシゴシせず、なでるように
✅ 週1回を目安に、やりすぎない
やってはいけない耳掃除
✅ 綿棒を奥に入れる
✅ アルコールで拭く
✅ 強くこする
✅ 毎日掃除する
掃除のしすぎは、炎症を悪化させることがあります。
④ 再発を減らす「日常の習慣」
耳トラブルは、一度落ち着いても再発しやすいです。
だからこそ、日常の習慣が大切です。
再発予防のコツ
✅ 数日に1回、耳の色・におい・汚れをチェックする
✅ 湿気の季節は、除湿や換気を意識する
✅ 耳が蒸れやすい犬は、散歩後に軽く風を通す
✅ 生活リズムを整えて、ストレスを減らす
「いつもの耳」を知っていると、再発にも早く気づけます。
⑤ アレルギー体質の犬は「耳+皮膚」をセットで考える
耳の痒みを繰り返す犬では、アレルギーが関係していることも多いです。
この場合、耳だけを掃除しても改善しにくいことがあります。
食事と生活でできること
✅ アレルギーを考慮した食事へ見直す
✅ おやつの成分を見直す
✅ 脂質の多い食べ物を控える
✅ 季節で悪化するなら室内環境(湿度・ホコリ)を整える
✅ 足先をよく舐める犬は、耳も悪化しやすいので注意する
アレルギーは「完全に治す」より、うまくコントロールする考え方が大切です。
まとめ

犬の耳のかゆみは“体からのSOS”
犬が耳を痒がるのはよくある症状です。
でも、その裏には必ず原因があります。
✅ 耳のかゆみは「癖」よりも、耳の中の違和感サインのことが多い
✅ 原因は、外耳炎・アレルギー・耳ダニ・湿気/環境・異物などが代表的
✅ 早めに気づくほど治療は短く済みやすく、慢性化を防ぎやすい
✅ 赤み・強いにおい・耳垢増加・痛み・出血・片耳だけの強い症状は受診の目安
✅ 子犬/シニア/垂れ耳/耳毛が多い/アレルギー体質の子は、悪化しやすいので早め行動が安心
✅ 迷ったら「受診して原因を確認」が、結果的に愛犬の負担を減らしやすい
まずは落ち着いて耳を観察し、におい・赤み・耳垢の変化があれば、早めに動物病院へ相談してくださいね。
よくある質問(FAQ)

Q1. 耳を少し掻く程度なら、様子見で大丈夫ですか?
元気・食欲が普段通りで、耳の赤みやにおい、耳垢の増加がない場合は、まず様子見でも大丈夫なことがあります。
ただし、掻く回数が増える、頭を振る、耳が赤いなど変化があれば早めに受診しましょう。
Q2. 耳掃除は毎日した方がいいですか?
基本的には毎日はおすすめしません。
掃除のしすぎで皮膚が傷つき、炎症を悪化させることがあります。
家庭では「入り口だけ」を週1回程度、やさしくが目安です。
ベタベタした耳垢や強いにおいがある場合は、掃除より受診が優先です。
Q3. 片耳だけをしつこく気にします。何が考えられますか?
片耳だけの症状は、外耳炎の左右差、耳ダニ、異物(草の種など)が原因になることがあります。
急に激しく頭を振る、触ると痛がる場合は異物の可能性もあるので、早めの受診をおすすめします。












