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犬が耳を痒がる原因と対処法を獣医師がわかりやすく解説

「最近、愛犬が耳をガシガシ掻いている…」

「頭をブルブル振る回数が増えた気がする」

そんな変化に気づいて、不安になった飼い主さんも多いと思います。

犬の“耳の痒み”は、実はとてもよくある相談のひとつです。

しかし、よくある症状であっても、そこには必ず 原因 があり、また放置すると悪化して強い痛みや感染につながることもあります。

特に垂れ耳の犬種(トイプードル、ダックス、コッカーなど)、耳毛が多い犬、アレルギー体質の犬は耳トラブルが起こりやすく、早めの対処が大切です。

1. 犬が耳を痒がるのはなぜ?まず知っておきたいこと

犬が耳を掻く行動は珍しくありません。

しかし、それは“癖”ではなく、ほとんどの場合 耳の中に何らかの違和感があるサイン です。

犬の耳は人よりも複雑な形をしており、外耳道がL字型になっています。

この形のせいで湿気がこもりやすく、細菌やカビ(マラセチア)が増えやすい環境が整ってしまいます。

特に、次のような犬は耳トラブルが起こりやすいです。

・垂れ耳の犬
・耳毛が多い犬
・アレルギー体質の犬
・暑い時期、湿気の多い季節

つまり、 耳が痒くなること自体は珍しいことではない のですが、問題は

「どこまでが様子見できる状態で、どこからが注意なのか」

という点です。

まずは、よくある原因から順番に見ていきましょう。

2. 犬が耳を痒がる主な原因(5つ)

犬の耳の痒みには多くの原因がありますが、飼い主さんが知っておくべきポイントを5つにまとめました。

① 外耳炎(最も多いトラブル)

犬が耳を痒がる理由として一番多いものが 外耳炎 です。

外耳道の皮膚に炎症が起き、

・赤み
・におい
・耳垢
・痒み

が現れます。

外耳炎の原因はさまざまですが、主に

✔ 細菌
✔ カビ(マラセチア)
✔ アレルギー
✔ 耳の中の湿気

などが関係しています。

外耳炎は軽度であれば痒みだけですが、悪化すると痛みが強くなり、触られるのを嫌がるようになります。

放置すると慢性化し、「治りにくい耳」になってしまうこともあります。

② アレルギー(アトピー・食物アレルギー)

皮膚や耳の痒みと深く関係しているのが アレルギー です。

アレルギーのある犬は、

・季節の変わり目で悪化
・食事を変えたら痒みが増えた
・体をなめる、足先を噛む

といった症状が出やすく、耳の中も炎症を起こしやすくなります。

耳だけでなく、皮膚全体にトラブルが起きるケースも多いため、痒みが繰り返しやすいのが特徴です。

③ 耳ダニ(ミミヒゼンダニ)

強烈な痒みを引き起こすのが 耳ダニ です。

耳ダニが疑われる特徴は

✔ 黒いサラサラした耳垢(コーヒーかす状)
✔ とにかく痒みが強い
✔ 子犬、多頭飼いで多い

といった症状です。

他の犬・猫に移ることがあるため、放置すると家のペット全体に広がる可能性があります。

④ 耳の汚れ・湿気・環境原因

シャンプーの後に耳の中に水が入ったり、梅雨〜夏の湿気で蒸れたりすると、外耳炎の原因になります。

また、意外に多いのが 耳掃除のしすぎ。

必要以上に拭いてしまうと皮膚が傷つき、逆に炎症を起こすことがあります。

一方で、汚れすぎももちろんNG。

「掃除しすぎず・放置しすぎない」ほどよいケアが必要です。

⑤ 異物(草の種・ほこり)

散歩中に草の種が耳に入ることがあり、急に激しく耳を振る、片耳だけかゆがるなどの症状が出ます。

異物が奥に入ってしまうと強烈な違和感や痛みを引き起こすため、自然に取れない場合は早めの対処が必要です。

3. こんな症状は注意!早めの対応が必要なサイン

犬が耳を痒がるとき、「少し様子を見よう」と考える飼い主さんも多いですが、耳のトラブルは進行しやすく、悪化すると強い痛みや長期的な治療が必要になることがあります。

自宅ケアで様子を見てもよいケースもありますが、次のような症状があれば注意が必要です。

注意すべき耳の変化

☑ 耳をしつこく掻き続けている
☑ 頭をブルブルと振る回数が多い
☑ 耳のにおいが強い・すっぱい匂いがする
☑ 耳が赤く腫れている
☑ ベタベタ・黒い耳垢が大量にある
☑ 触るだけで痛がる・嫌がる
☑ 出血や、湿った耳垢が見られる
☑ 左右の耳の症状がまったく違う
☑ 片耳だけをしつこく気にしている

特に注意したいのが「痛みのサイン」。

犬は痛みを隠す傾向がありますが、耳に触れようとした瞬間に避けたり、キャンと声をあげたりする場合、すでに炎症が進んでいる可能性があります。

また、赤み・悪臭・湿った耳垢は外耳炎の典型的なサインです。

放置すると中耳や内耳に炎症が広がり、めまいや平衡感覚の異常につながるケースもあります。

耳は、犬の生活の質に直結する大切な器官です。

「いつもより気にしているな」と感じた時点で、すでにトラブルが始まっていることが多いため、早めの対処が安心です。

4. 自宅でできる耳のケア|初心者でもできる簡単対策

耳トラブルを軽くする、または悪化を防ぐために、飼い主さんがおうちでできるケアをまとめました。

① まずは“観察”が第一歩

耳をケアするときに大切なのは、いきなり掃除を始めないことです。

まずは、耳の状態を「見る・嗅ぐ・触る」の3ステップで確認します。

観察ポイント

・耳の内側が赤いか
・耳垢の色(黄色、茶色、黒など)
・湿っているか、乾いているか
・においはどうか
・触られたときの反応

観察を続けることで、普段の耳の状態を知り、異変に気づきやすくなります。

② 耳を“乾燥させる”工夫

外耳炎の多くは湿気で悪化します。

特に垂れ耳の犬は、湿度がこもりやすく注意が必要です。

耳を乾燥させるポイント

・シャンプー後、耳の入口を優しく乾かす
・耳が蒸れやすい犬種は、散歩後に軽く風を通す
・蒸し暑い季節は室内の除湿を行う

特に夏場や梅雨は、耳のトラブルが増える季節です。

湿気管理はとても重要なケアのひとつです。

③ イヤークリーナーでの簡単ケア(やさしい方法)

家庭でできる耳掃除はあくまで「入り口だけ」。

奥まで綿棒を入れる必要はありませんし、むしろ危険です。

やり方(安全な範囲)

・市販の犬用イヤークリーナーをガーゼに少しつける
・耳の“見える範囲”だけ軽く拭き取る
・ゴシゴシこすらず、やさしくなでるように
・週1回を目安に、やりすぎないこと

やってはいけない耳掃除

・綿棒を奥に入れる
・アルコールで拭く
・強くこすってしまう
・毎日掃除する

耳の皮膚はとてもデリケートです。

掃除のしすぎは炎症の原因になります。

④ アレルギー体質の犬へのケア

アレルギーの犬は、耳のトラブルを繰り返しやすいです。

食事のポイント

・おやつの成分を見直す
・脂質の多い食べ物を控える
・同じ食事で悪化する場合は避ける

生活の工夫

・季節で悪化しやすい場合は室内環境を整える
・足先をよく舐める犬は特に耳も悪化しやすい

アレルギーは体質なので、“完全に治す”というよりは“コントロールする”イメージが大切です。

5. 耳のトラブルを繰り返さないための予防法

一度症状が落ち着いても、耳トラブルは再発しやすいのが特徴です。

毎日の生活の中でできる予防を知っておくことがとても大切です。

① 日常的な耳チェックを習慣にする

・数日に一度、耳の色やにおいをチェック
・軽い汚れは入り口だけ優しく拭く

・“いつもの耳”を知ることで変化にすぐ気づける

② 耳の換気・乾燥を意識する

・散歩や運動後は軽く風を通す
・湿気の季節は除湿機を活用
・長い耳毛は無理なく整える

ジメジメした環境は、細菌やカビが増える原因になります。

③ 食事管理も耳の健康につながる

アレルギー体質の犬にとって、耳の炎症は食事と密接に関係しています。

・脂肪の多い食事は控える
・ドッグフードの成分をチェック
・おやつの量と種類にも注意

耳の状態が食事で良くなる子はとても多いです。

④ ストレスを減らす環境づくり

ストレスは免疫力を落とし、皮膚トラブルを悪化させます。

・生活リズムを整える
・安心できる寝床をつくる
・運動やスキンシップでリラックス

耳だけでなく、全身の健康にもつながる大切な要素です。

6. まとめ|犬の耳のかゆみは“体からのSOS”

犬が耳を痒がる行動は、とてもよくある症状です。

しかし、その裏には必ず“原因”があります。

✔ 外耳炎
✔ アレルギー
✔ 耳ダニ
✔ 湿気・汚れ
✔ 異物

これらは放置すると悪化し、強い痛みや慢性化につながることがあります。

耳トラブルは“早く気づくほど治りやすい”のが特徴です。

飼い主さんが毎日の中で小さな変化に気づいてあげることが、愛犬の快適な生活を守る第一歩になります。

愛犬が耳を掻く、頭を振る、においがする──

そんなときは、まず落ち着いて耳を観察し、必要なケアをしてあげましょう。