「最近、愛犬がゴホゴホと咳をするようになった」
「シニアだから仕方ないのかな?」
「風邪のようなものだと思って様子を見ているけれど大丈夫?」
犬の咳は、飼い主さんがとても不安になりやすい症状のひとつです。
実際、当院でも「咳が出ていて心配です」という相談は日常的にあります。
咳というと「気管や肺」「のどの病気」をイメージしやすいですが、臨床の現場で実際に多く見られる原因のひとつが心臓病です。
しかも心臓病は初期の段階では症状が出にくく、咳は進行してから出ることが多いという特徴があります。
この記事では、咳の見分け方と受診の目安、受診前に家でできることを、獣医師の視点でわかりやすくまとめます。
先に結論
咳が1〜2回で止まり、普段通り元気・食欲もある。
こうした場合は、ホコリなどの刺激で一時的に咳が出ていることもあります。
ただし、次のような咳は 心臓病を含めた病気の可能性 が上がります。
「迷ったら受診」 が安心です。
✅ 夜〜朝方に咳が出る/寝ているときに咳き込む
✅ 運動・興奮のあとに咳が出る
✅ 咳の回数が少しずつ増えている(悪化傾向)
✅ 咳と一緒に息が荒い、疲れやすい、散歩で止まる
✅ シニア期(7歳以降)で咳が出てきた
犬の咳は珍しくないが、理由はさまざま

咳は、気道(のど・気管・肺)に刺激や異常が起きたとき、体がそれを外へ出そうとして起こる防御反応です。
一時的なホコリや乾燥などで咳が出ることもあります。
ただし犬は言葉で不調を伝えられません。
だからこそ咳は、「体のどこかに負担があるよ」というサインとして受け取る必要があります。
大切なのは、「咳があるかどうか」ではなく、「咳が続く・増える・生活に影響する」という変化に気づくことです。
犬の咳で考えられる主な原因

犬の咳は、大きく分けて次の3つがあります。
① 呼吸器(気管・肺)のトラブル
✅ 気管虚脱(小型犬に多い)
✅ 気管支炎、肺炎
✅ 感染症(いわゆる犬の風邪)
✅ 腫瘍など
② 刺激・環境・異物
✅ ホコリ、煙、強い香り、乾燥
✅ 散歩中の草の種などの吸い込み
✅ 首輪の圧迫(引っ張りが強い子)
③ 心臓病(臨床現場で多い)
特に小型犬・シニア犬では、心臓病が背景にある咳が少なくありません。
呼吸器の病気と見分けがつきにくく、「風邪かな?」と様子を見ているうちに進行してしまうことがあります。
咳と心臓病

心臓病の咳は 初期に症状が出にくく、咳が出た時点で 以前から進行していた可能性 があります。
心臓病は初期に症状が出にくい
心臓病の初期は、
✅ 食欲がある
✅ 元気に見える
✅ 散歩にも行ける
という子が多く、見た目で気づきにくいのが特徴です。
そして多くの場合、咳は「初期症状」ではありません。
肺や気道に負担がかかってきた段階で咳として出やすくなります。
こんな咳は心臓病を疑ってほしい
次の特徴があるときは、心臓病も候補に入れて受診をおすすめします。
✅ 夜〜朝方 に咳が出る
✅ 寝ているとき に咳き込む
✅ 運動・興奮のあと に咳が出る
✅ 咳が じわじわ増えてきた(頻度・期間が延びる)
✅ シニア期(7歳〜)で咳が出始めた
すぐ受診してほしい危険サイン
この場合は「様子見」は危険です。早めに受診してください。
✅ 咳と一緒に呼吸が苦しそう(息が荒い/お腹で呼吸する)
✅ 舌や歯ぐきが紫っぽい
✅ ぐったりしている/失神した
✅ 横になるのを嫌がる、座ったまま眠る
✅ 咳が急に増え、生活に支障が出ている
受診前に家でできること
診察がスムーズになり、判断材料が増えます。
✅ 咳の動画を撮る(音・回数・タイミングが分かるもの)
✅ いつから/どんな時に出るかをメモ(夜、運動後、興奮後など)
✅ 散歩中の様子(止まる・疲れやすい)もメモ
✅ 首輪を使っているなら、できれば一時的にハーネスに変更
✅ 部屋を乾燥させすぎない(加湿・換気)
「早期発見・早期対策」で生活の質を守る!
早期発見には検査が必要
心臓病は無症状の段階では、見た目だけで分かりません。
だからこそ、必要に応じて検査で「今の状態」を確認します。
治療の目的は「症状を出さない・軽くする」
心臓病は自然に治る病気ではありませんが、
✅ 症状が出ない期間を長くする
✅ 症状が出ても軽くする=生活の質を守ることができます。
まとめ

咳に気づいた飼い主さんは、すでに大切な変化に気づけています。
「様子を見ていい咳か、相談すべき咳か」迷ったら、早めに動物病院へご相談ください。
✅ 犬の咳は珍しくありませんが、原因はさまざまです
✅ 臨床現場では、心臓病が背景にある咳も多く見られます
✅ 心臓病は初期は無症状で、咳は進行してから出ることが多いです
✅ 夜〜朝方/寝ている時/運動後に出る咳、増えていく咳は要注意
✅ 呼吸が苦しい、ぐったり、失神などがあれば早急に受診を
✅ 受診前は「いつ・どのくらい・どんな咳か」をメモや動画で残すと役立ちます
よくある質問(FAQ)
Q1. 咳がたまに出るだけなら様子見でいいですか?
元気・食欲が普段通りで、咳が1〜2回で止まるなら様子見できることもあります。
ただし「夜に出る」「運動後に出る」「回数が増える」場合は、早めに受診が安心です。
Q2. 心臓病の咳と、風邪の咳は見分けられますか?
完全に見分けるのは難しいです。
ただ、心臓病では「夜〜朝」「寝ている時」「運動後」に出やすく、じわじわ増える傾向があります。
迷ったら受診が安全です。
Q3. 受診のときに持っていくと良いものはありますか?
咳の動画が最も役立ちます。
加えて、咳が出る時間帯・頻度・きっかけ(運動後など)をメモしておくと診察がスムーズです。












