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猫の頻尿は病気のサイン?特にオス猫は命の危険も!

「最近うちの猫がトイレに行く回数が増えた気がする…」

「おしっこが少ししか出ていないような…」

そんな変化に気づいて、不安になったことはありませんか?

猫の頻尿は、単なる一時的な変化のこともありますが、実は命に関わる病気のサインである場合もあります。

特にオス猫の場合は、尿路が詰まりやすく、数時間で危険な状態になることもあるため注意が必要です。

この記事では、猫が頻尿になる主な原因や、すぐに受診すべきサイン、そして家庭でできる予防法について、獣医師の立場からわかりやすくお伝えします。

1. 正常なおしっこの回数の目安を知ろう

まずは、「どのくらいトイレに行くのが普通なのか」を知ることが大切です。

猫の1日の排尿回数はおよそ2〜3回程度が目安です。

ただし、飲水量やフードの種類によって多少変わります。

たとえば、ウェットフードを食べている猫は食事からも水分をとるため、自然と排尿回数が少なくなります。

一方、ドライフード中心の食生活では、摂取する水分が少ない分、水皿から飲む量が増え、トイレの回数もやや多くなります。

「頻尿」とは、回数が多いことだけでなく、1回あたりの尿量が少ない、何度もトイレに入るのにあまり出ていないといった様子も含まれます。

💡頻尿のチェックポイント

– 1日に5回以上トイレに行く

– トイレで何度もしゃがむのに、少ししか出ない

– 排尿中に鳴く、痛そうにしている

– トイレ以外の場所でもおしっこをしてしまう

こうした行動が見られたら、「ただの癖」と思わず、注意して観察してみましょう。

2. 猫が頻尿になる主な原因

猫の頻尿には、いくつかの代表的な原因があります。

ここでは、特に多いケースと危険な病気について順番に解説します。

① 膀胱炎(ぼうこうえん)

頻尿の原因として最も多いのが膀胱炎です。

細菌感染やストレス、トイレ環境の変化などが引き金になります。

膀胱炎の猫は、何度もトイレに行くのに少ししか出なかったり、排尿時に痛みを感じて鳴いたりします。

おしっこがピンク色や赤っぽい場合は、血が混じっている可能性があります。

【主な症状】

– トイレに頻繁に行く

– 排尿時に鳴く

– 血尿が見られる

– トイレ外での排尿

膀胱炎は早期に治療すれば比較的治りやすい病気ですが、再発しやすい傾向があります。

原因にストレスが関わっている場合も多いため、治療とあわせて生活環境の見直しも必要です。

② 尿路結石・尿道閉塞(特にオス猫に多い)

この病気は命に関わる緊急事態です。

尿の中にあるミネラルが結晶や石となり、尿道を塞いでしまう病気です。

オス猫は尿道が細く長いため、メス猫よりも圧倒的に詰まりやすく、数時間で尿が出なくなることがあります。

【こんな症状が見られたら危険!】

– トイレに何度も行くのに、ほとんど出ていない

– 苦しそうに鳴く

– お腹を触ると嫌がる

– 元気がない、ぐったりしている

尿が出ないまま時間が経つと、腎臓にダメージが及び、体内に老廃物が溜まります。

最悪の場合、24時間以内に命を落とすこともあるため、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

再発防止のため、食事治療による管理がとても重要です。

③ 慢性腎臓病

中高齢の猫で増えている病気です。

腎臓は老廃物を濾過して尿を作る臓器ですが、加齢や遺伝によって少しずつ働きが弱まります。

腎臓の機能が低下すると尿が薄くなり、体内の水分が失われやすくなります。

結果として、「喉が渇いて水を飲む→尿が増える」という悪循環が起こります。

【特徴】

– 頻尿+多飲(水をよく飲む)

– 食欲が落ちる

– 体重が減る

– 毛づやが悪くなる

腎臓病は早期発見・治療で進行を遅らせることができます。

7歳以上の猫では、年1〜2回の健康診断を受けておくと安心です。

④ 糖尿病

糖尿病も頻尿・多飲を引き起こす病気です。

血糖値が高くなり、尿に糖が出ることで体の水分が失われます。

【こんなサインがあれば要注意】

– よく食べるのに痩せてきた

– 水をたくさん飲む

– 尿の量が多い

– 毛並みが悪い

糖尿病は治療が遅れると合併症を起こすこともあるため、早めの血液検査が必要です。

⑤ ストレスやトイレ環境の問題

病気ではなく、環境の変化が原因で頻尿になるケースもあります。

猫はとても繊細な生き物で、些細な変化がストレスとなり、膀胱の働きに影響を与えることがあります。

【よくある原因】

– 引っ越しや模様替え

– 新しい家族やペットの登場

– トイレの場所や砂の種類を変えた

– トイレが汚れている

こうしたストレス性の頻尿では、体に異常がなくても、トイレの回数が増えることがあります。

安心できる環境を整えることが、最大の予防策です。

3. 病院に行くべきタイミング

次のような症状が見られたら、迷わず動物病院を受診しましょう。

✅ 何度もトイレに行くのに尿が出ない

✅ トイレ中に鳴く、痛がる

✅ おしっこがピンク色や赤い

✅ 尿の回数が多いのに量が少ない

✅ 元気や食欲がない

✅ オス猫で尿が全く出ていない

とくにオス猫の「出ていない頻尿」は緊急です。

夜間でも、ためらわず救急病院を受診してください。

4. 自宅でできるケアと予防

猫の頻尿は、生活習慣の見直しで予防できることもあります。

1. 水分をしっかりとる工夫

– 新鮮な水を複数の場所に置く

– ウェットフードを取り入れる

– 循環式の給水器を使う

流れる水を好む猫も多く、自然に水を飲む量が増えます。

2. トイレを清潔に保つ

– 1日1〜2回は掃除

– 猫の頭数+1個のトイレを設置

– 静かで安心できる場所に置く

トイレが汚れていると排尿を我慢し、膀胱炎の原因になります。

3. ストレスを減らす環境づくり

– 隠れられるスペースを用意

– 音や来客など急な刺激を避ける

– 普段通りの生活リズムを大切にする

ストレスを感じると、ホルモンのバランスが崩れ、頻尿を引き起こすことがあります。

5. まとめ|頻尿は“体からのSOS”です

猫の頻尿は、「ちょっとした変化」と思って見過ごすと危険です。

– 軽い膀胱炎から命に関わる尿路閉塞まで原因はさまざま

– 特にオス猫は尿道が細く、つまりやすいため注意

– 「トイレに何度も行く」「出ていない」「元気がない」場合はすぐ受診を

– 水分・トイレ・ストレスの管理が再発予防のカギ

獣医師からのメッセージ

頻尿は、猫からの小さなSOSです。

飼い主さんが早く気づいてあげることで、助けられる命があります。

「なんかいつもと違うな」と感じたら、ためらわず動物病院に相談してください。

その気づきが、愛猫の健康寿命を延ばす一歩になります。